けやきトータルクリニックの≪健康相談室≫糖尿病という病名変更についてについての記事です

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    ≪健康相談室≫糖尿病という病名変更について

    2023/10/16

    糖尿病という病名が変わるかもしれないと聞きました。なぜですか?

    病気に対する誤った認識が偏見を助長し差別を生んでいます

    日本糖尿病協会は、糖尿病という名称の変更を検討するとしています。これは患者さんの大半が糖尿病という名前に不快感を抱いていることを踏まえてのことで、糖尿病患者を対象としたネットのアンケート調査では、回答者の9割が病名に何らかの抵抗感・不快感を持ち、変更を希望する人が8割に上りました。尿という言葉が持つ負のイメージへの懸念も多かったようです。
    糖尿病は遺伝的要因の関与が大きく、生活習慣は原因の一部ですが、必ずしも生活習慣がよくないから糖尿病になるわけではありません。食生活が乱れていても糖尿病にならない人もいますし、食生活に気を付けて運動していても、遺伝的な体質のためインスリンが出にくく糖尿病になる人もいます。
    代替名には、高血糖症、高血糖症候群、血糖異常症、血糖調節異常症、インスリン不全症、糖代謝異常症といった候補があり議論中です。今後1~2年のうちに新たな病名が提案されることになるでしょう。
    糖尿病に限らず、病名が変更された例は過去にもあります。痴呆症→認知症、精神分裂病→統合失調症など、患者さんの尊厳を大切にして病名変更が行われてきました。
    また生活習慣病という言葉も、いかにも生活習慣が悪く自堕落な生活をしているかのようなイメージがあり「自己管理ができていない怠け者のような目で見られる」「就職が不利になった」「住宅ローンに加入できない」といった訴えがあったそうです。
    病気の原因は様々です。罹患した人が肩身の狭い思いをしない社会になることを望みます。

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