けやきトータルクリニックの≪健康相談室≫アルツハイマーと認知症薬についてについての記事です

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    ≪健康相談室≫アルツハイマーと認知症薬について

    2023/8/21

    アルツハイマー病による認知症の薬が開発されたそうですが、どんな薬ですが?

    認知症の進行を遅らせる点滴薬で年内の承認を待っています。

    アルツハイマーは、脳にアミロイドベータという異常蛋白質が蓄積して徐々に悪化する変性疾患で、認知症の6~7割を占めています。
    初期症状は、最近の出来事を思い出せなくなることで、進行すると言語障害、見当識障害(迷子になるなど)、気分の落ち込み、意欲低下、自己否定、行動障害などの症状が現れます。原因は、それを産生する遺伝子が多いという体質、睡眠不足、糖尿病、不健康な食事などが挙げられます。
    エーザイが開発したレカネマブという薬は、脳に蓄積するアミロイドベータを取り除いてアルツハイマーの進行を抑える効果があります。1月に米国で承認され、日本でも今年中の承認を目指しています。
    用法は、2週間に1回の点滴投与で1時間かかります。副作用は脳の腫れや脳出血で、被験者の約13%に脳の腫れ、約17%に脳出血がみられました。また、被験者約1600人のうち2人が脳出血で死亡しましたが、因果関係は不明です。18ヵ月の試験期間で、認知機能の悪化を27%抑制し、生活能力の低下を遅らせることが確認されています。
    ただ投薬には、事前にPETか脳脊髄液の検査で、脳へのアミロイドベータの蓄積の有無を調べる必要がありますが、PET対応が可能な施設は全国で50ヵ所ほどしかありません。またこの薬は、アミロイドベータが疑集する前の状態に結合して除去するので、初期の軽症の人にのみ適応があり、重症の人には適応せず効果も期待できません。進行を遅らせることはできても、完治できないのが現状です。

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