≪健康相談室≫コロナワクチンの低温保存について
米国で開発されたコロナワクチンの保存温度はマイナス70度とか。なぜ、そこまで低温にする必要があるのでしょうか?
メッセンジャーRNAという成分が傷みやすいからです。
米ファイザー社は、昨年11月に新型コロナワクチンの臨床第3相試験で、90%を超える予防効果が確認されたと発表しました。そしてその2週間後、英アストラゼネガ社も、ワクチンが平均70%、最高90%の効果を示したと発表しました。
アストラゼネガのワクチンは、一般的な冷蔵庫の温度(2度~8度)で保管できる点が最大の特長です。一方、ファイザーのワクチンは、マイナス70度以下での管理が必要で、その温度下だと半年間の保存が可能ですが、2度~8度では5日間しか保存できません。
保存温度がこんなに違うのは、それぞれのワクチンの成分が違うからです。アストラゼネガのワクチンは、ベクター(運び手)ワクチンですが、ファイザーのワクチンにはメッセンジャーRNAという傷みやすい成分が入っています。そのため輸送や保管の際は低温管理が必要で、温度管理がしっかりされないと効果が失われる恐れがあります。
しかし米国の大都市の病院でも超低温冷蔵設備が不足しており、最も権威のある病院の1つ、メイヨー・クリニックでも今のところマイナス70度以下で保管できる設備はないそうです。こうした厳しい温度条件は、地方の医療機関や貧困国への供給を妨げる可能性があります。
一方、米モデルナ社のワクチンはメッセンジャーRNAをベースにしていますが、摂氏2.2度~7.7度までの間なら1カ月間安定した状態を保つことができ、さらにマイナス20度なら最大6カ月保管することができるそうです。これなら一般の病院でも保管可能となります。
日時:2020年12月10日 09:39