≪健康相談室≫レントゲン撮影と放射線について
最近、検査で何回もレントゲン撮影を受けました。被ばくの心配はありませんか?
通常のレントゲン撮影は心配ありません
最近のX線撮影はデジタル方式となり、従来の5分の1~10分の1という少ない線量で撮影が可能になりました。つまり、80~90%も被ばくする放射線量が減少しているのです。
実は、私たちはレントゲン以外にも知らないうちに自然界から放射線を浴びています。宇宙線と呼ばれる放射線が常に地球に降り注いでいますし、地上にはウランやラドン等の放射性物質が存在しています。また食物からも、カリウムや鉛等の放射性物質を取り入れています。
それらは自然放射線といって、年間で一人平均約2.4ミリシーベルト(mSv)になります。胸部デジタル撮影の放射線量は約0.02~0.05mSv ですから、胸部レントゲン50~120枚分に当たる自然放射線を、誰もが1年間で浴びているわけです。胸部レントゲン1枚を撮影するときの放射線量は、自然放射線量のわずか3~7日分にすぎません。
また、飛行機に乗ると地上より高い放射線を浴びることになります。例えば、東京~ニューヨーク間の往復で0.2mSvの放射線を浴びます。これは胸部レントゲン4~10枚分に相当します。
白血病や癌を誘発するのは、一度に200mSvを超える放射線を浴びた場合とされ、胸部レントゲン写真4千~1万枚分に相当します。
これらのことからも、レントゲン撮影を極度に恐れる必要はないことがお分かりいただけると思います。もちろん、レントゲン撮影は安全だから行うのではなく、医療上必要があるからです。放射線のリスクを上回る大きな利益を享受できるのです。
日時:2019年08月19日 11:44