≪健康相談室≫抗体カクテル療法について
テレビで「抗体カクテル療法」という言葉を耳にします。どんな治療法なのですか?
初期投与で入院や死亡が7~8割減少します
昨年、新型コロナの遺伝子配列が公表されてから、中和抗体(ウイルスの細胞内侵入を阻止)の開発が一挙に進みました。
たとえば米国リジェネロン社は、マウスや回復期患者の免疫細胞からバイオ技術を用いて中和抗体を作成。約200種類から作用が強い2種類の抗体を選び出し、これを合わせた(カクテルした)薬を開発しました。合わせることで変異種に対する効果が高まるのです。
この薬は30分ほどの点滴投与で、臨床試験では入院や死亡が7割減少。トランプ前大統領も使用しました。ただ、ウイルスが細胞内に侵入する時に必要なスパイク蛋白質をブロックし、細胞の中に入れないようにする仕組みなので、既に細胞内にウイルスが入り込み、酸素が必要なほど悪化した人には効きません。
つまり初期段階で使用することが重要で、対象となるのは発症後7日以内の軽症~中等症の患者で、65歳以上または基礎疾患等のリスクがある人です。
厚労省は、医師による観察が必要として、当初は入院患者に限って使用を認めました。しかし、感染の急拡大で入院できない患者が増えたことから、十分に観察できる体制が整っていることを条件に、宿泊療養施設や臨時医療施設として設置された入院待機ステーション等での投与を許可。その後、外来での投与も認めました。
9月の東京都の会議で、この点滴を受けた420人のうち95%が軽快したと報告されています。問題は供給量が少ないことで、年内に20万人分、当面は7万人分が確保されています。
日時:2021年09月18日 09:11