新松戸のクリニック けやきトータルクリニック

　ウイルスには遺伝子が１本鎖のRNAウイルスと、遺伝子が螺旋構造になっている２本鎖のDNAウイルスとがあり、新型コロナはRNAウイルスに属します。
　ウイルスは遺伝子のコピーを繰り返して増殖していますが、その際にコピーミスが起こると変異します。DNAウイルスの場合は、ある部位に変異が起こると対の1本が修復しようとして働きますが、RNAウイルスは１本鎖なので修復されず、変異したまま増殖します。
　変異したことで、作られる蛋白質が変わり、機能も変わります。例えば免疫機能をくぐり抜けやすくなると（免疫逃避）、感染力が上がります。変異型の感染力は従来型より1.4～1.9倍高いようです。また、増殖しやすくなると、免疫逃避との相乗作用で重症化しやすくなります。
　これまでは感染から重症化まで２週間ほどかかりましたが、いきなり重症化するケースも出てきました。さらに、重症化しにくいといわれていた若者が重症化し、長引く症例も増えてきているので、注意が必要です。
　ちなみに新型コロナの変異率は、同じくRNA構造のインフルエンザの約半分ほどといわれています。
　ワクチンについては、接種により体内にポリクロナールな抗体反応（多種類抗体ができる）が起こります。その仕組みから、数か所の変異だけで効果が大きく変わることはないはずです。
　現状では変異でワクチン効果が著しく下がるとは確認されていませんし、製薬会社は微小な変異なら６週間ほどでワクチンを作り直せると表明しています。