≪健康相談室≫質の良い睡眠について
コロナ禍で仕事が不調です。そのストレスからか最近、熟睡できず困っています。
朝、日光をしっかり浴びることから始めましょう。
人間の体内時計は25時間周期で動いています。これを概日リズムと言い、地球の1日の周期である24時間と少しズレています。このズレを調整してくれるのが日光です。毎朝、日光をしっかり浴びると、睡眠・覚醒のリズムが整い、質の良い睡眠を得られるようになります。
その理由の一つが、脳で分泌される睡眠ホルモン・メラトニンの働きにあります。メラトニンは、夜になると分泌量が増えて眠気を促し、朝、日の光を浴びることで分泌量は減り、覚醒させてくれます。ここで体内時計がリセットされるのです。
この睡眠誘発ホルモンに対し、覚醒を誘発して安定させ、しっかり目覚めさせるのが、脳内の神経伝達物質・オレキシンです。
これは1996年にテキサス大学にいた柳沢正史医師(現・筑波大教授)と櫻井武医師(現・金沢大教授)によって発見された神経伝達物質ですが、気持ちが高ぶり興奮して眠れないとき、脳の中ではオレキシンの分泌が盛んになっています。
睡眠を左右するこの2つの物質に関する睡眠薬があります。1つは、メラトニンの作用を促して自然な眠りを誘う「ロゼレム」という薬で、10年前に発売されました。もう1つは、オレキシンの覚醒作用をブロックして睡眠状態をもたらす「ベルソムラ」という薬で、6年前に発売されました。
どちらも、ふらつきや記憶障害の副作用が少ないことや、薬に心理的に頼ってしまう薬物依存症が少ないといった利点があります。ただし、併用してはいけない薬もあるので、使用には主治医との相談が必要です。
日時:2020年07月20日 16:00