《健康相談室》インフルエンザ予防接種と感染について
去年、インフルエンザの予防接種をしたのにインフルエンザに罹ってしまいました。予防接種は本当に効果があるのでしょうか?
予防接種には発症・重症化を抑える働きが
インフルエンザウイルスが口や鼻から体の中に入ってくると、ウイルスは気道の細胞に侵入して増殖します。これを感染といいますが、ワクチンにはインフルエンザの感染を抑える効果はありません。つまり、体にウイルスが入って来るのをブロックする働きはないわけです。
さて、体内でウイルスが増殖すると、潜伏期間を経て、発熱や頭痛、のどの痛み等の症状が出現します。これを発症といいますが、ワクチンにはウイルスの増殖を抑えて発症を防ぐ効果があります。これが予防接種の第一の効果です。
ほとんどの健常な方は、インフルエンザが発症しても1週間ほどで症状は回復していきます。しかし中には、肺炎やインフルエンザ脳症等の重篤な合併症が出現して重症化し、入院治療が必要となる人や、残念ながら亡くなる人もいます。特に糖尿病や慢性閉塞性肺疾患等の基礎疾患のある方や、高齢で体力が低下している方などは、重症化する可能性が高くなります。
ワクチンはこうした重症化を防ぐことができるのです。これが予防接種の最も大きな効果といえます。
予防接種をすれば絶対に罹らないというわけではありません。しかし、予防接種を受けることで発病の可能性を下げることは出来ます。また、たとえ罹ったとしても症状が重症化せず、軽く済むという効果は充分にあります。ですから、高齢の方、糖尿病や慢性閉塞性肺疾患等の持病のある方は、ぜひとも年内中に予防接種を受けられたほうがよいと思います。
日時:2015年11月01日 11:42