≪健康相談室≫新型タバコの健康への影響について
なかなか禁煙ができないので、せめて新型タバコに変えようと思うのですが…?
新型タバコも健康に悪影響をもたらす可能性があります
新型タバコには、葉タバコを加熱してニコチンを含んだエアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子)を発生させる加熱式タバコと、液体を加熱してエアロゾルを発生させる電子タバコとがあります。
どちらも「煙が出ないので禁煙エリアでも吸える」「受動喫煙の危険がない」「従来のタバコより健康リスクが少ない」と誤解され、急速に普及しています。
しかし、新型タバコが病気や死亡リスクを下げるという十分な科学的証拠はまだありません。加熱式タバコには従来のタバコとほぼ同量のニコチンや揮発性化合物(ホルムアルデヒド等)が含まれるほか、アセナフテン(多芳香環炭化水素物)は約3倍、PM2.5は通常の大気中より濃度が高く、アセトアルデヒドなどの有害物質も含まれています。
さらに、加熱によるエアロゾルの発生は、液体成分を分解して混合させ、発癌性物質に変化させる可能性がありますし、土壌中から蓄積された放射線元素 ポロニウムも従来のタバコと同様に含まれています。
「煙が出ない」といわれますが、特殊なレーザー光を加熱式タバコ使用者の息に照射すると、大量のエアロゾルを吐き出して いることが分かります。つまり 受動喫煙の危険もあり得るわけ です。
現時点では、従来のタバコより一部の有害物質(タール等) が少ないという程度で、安全だと誤解して多量に使用すると、かえって健康に悪影響が出ます。とくに呼吸器疾患を持つ人や、心臓の冠動脈疾患のある人には 重大な影響が懸念されます。
日時:2019年12月11日 11:24