健康相談室《高血圧と薬の服用について》
健康診断で高血圧を指摘され、薬を飲み始めました。どこまで血圧が下がれば、薬を止めることができますか?
米国では130 / 80 未満を降圧目標としています
高血圧治療によって心臓血管病が予防できるという有効性には、数多くの証拠があります。最近の研究では、上の血圧が10低下すると、心臓血管病は20%減るとされています。しかし、どこまで血圧を下げるのが望ましいのかについては、明らかな根拠はあまりありません。
一昨年11月、米国心臓病学会が新しいガイドラインを発表しました。心臓血管病リスクの高い患者では、130/80未満を降圧目標としています。
根拠となったのは、米国で行われた大規模臨床試験SPRINTです。ハイリスク患者を対象に、上の血圧が120未満を目指した積極降圧群の方が、140未満を目指した標準降圧群より心臓血管病が25%低下していたのです。
しかしその一方、積極降圧群では腎機能悪化等の副作用が増加していることも分かりました。そのため120未満の臨床応用はリスクが大きいと考え、米国心臓病学会では、効果と副作用のバランスを考えて130未満を目標としています。
ただ、目標を立てても下がらない場合も多く、日本の降圧薬服用者の場合は140/90未満を達成している人が約50 %しかいないと報告されています。
原因としては、患者側では生活習慣の修正が不十分なことや、服薬が守られていないといった問題が考えられ、医療側では、介入が不十分で高めの血圧で満足してしまう慣れの問題などが考えられます。
高血圧治療は、医師だけでなく、看護師や保健師、薬剤師、栄養士等がチームを組んでの啓蒙が必要だと思われます。
日時:2018年12月12日 15:08