《健康相談室》 血管年齢と動脈硬化について
62 歳の父はコレステロールが高いと指摘され、夏でも足が冷たいと言います。脳梗塞や心筋梗塞の原因の1つとされる動脈硬化ではないかと心配です。一度、血管の状態を検査したほうがよいと思うのですが、どんな方法がありますか?
短時間で簡単に血管年齢を調べる検査があります
手と足の血圧の比較や脈波(心臓から血液が送られる時に出る振動)の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度と血管年齢を把握することができます。
検査はABIとPWV の2種類があります。ABI とは足関節上腕血圧比の英語名の略で、腕の血圧と足首の血圧の比をみる検査です。腕の血圧を1とし、足首の血圧と比べます。腕と足首では、足首の方が血圧がやや高めになるのが普通で、正常値は1・0〜1・3ぐらい。0・ 9以下(足首の方が腕よりも低い)の場合は、足の太い動脈に血液の流れが悪くなっている場所があることを示し、閉塞性動脈硬化症の可能性が考えられます。
一方、PWV とは、脈波伝播速度の英語名の略で血管の固さの指標です。脈波が伝わる速さのことで、固い物は振動が早く伝わり、柔らかい物は遅く伝わる原理を利用しています。例えばゴムホースと鉄パイプでは、鉄パイプの方が早く振動が伝わることを考えると分かり易いと思います。血管が固くなればスピードは速くなり、値が大きくなります。測定したPWV 値が、どの年齢の平均値に近いかで血管年齢を推定します。
いずれも血圧と心電図測定の組み合わせで、痛い検査ではありません。検査時間も10分ほどです。血管年齢を知り、運動や食事などの生活改善を行ったり、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の治療を行うことで、脳梗塞・心筋梗塞の危険を減らすことができます。医療機関でご相談下さい。
日時:2015年07月01日 14:41