《健康相談室》うつ病について
主人は4月の異動で転勤して以来、眠れなくなり、いつも疲れていてやる気が出ない様子。体調も良くありません。うつ病ではないかと心配です。
体の不調がうつ病のサインとなることも
うつ病は、誰でもかかる可能性があります。しかし残念ながら、うつ病の原因を「心が弱いから、周囲に甘えているから」と捉える人もあり、現在でも社会的な理解が不足しています。受診率が約3割と少ないのは、うつ病の症状を体の不調と思ってしまうことも多いからですが、病気を周囲に知られたくないため治療を受けないという場合もあるようです。
うつ病は、脳の中で気分や意欲に関わる働きをするセロトニンやノルアドレナリンという物質が減ってしまうことで起こる病気で、甘えや精神力とは別物です。
強い疲労やストレスを感じると、脳内のセロトニンとノルアドレナリンの量が減ることが医学的に分かっています。例えば、死別や離婚、病気になる…など、悲しい、苦しい出来事がストレスになるのはもちろんですが、昇進や結婚、子供の独立など、明るい人生の転機であっても、それが急激な変化となり自分の生活に影響を及ぼす場合は、ストレスとなってうつ病の原因となることもあります。
うつ病の回復には一般的に時間が掛かります。最近、使用される薬は、セロトニンとノルアドレナリンに限定的に作用するため副作用が少ないとされていますが、即効性はありません。効果が現れるまで医師と相談しながら時間を掛けて薬の量や種類を変更するなど、根気よく治療を続けていく必要があります。
心の不調だけでなく、体の不調もうつ病のサインとなることを知り、かかりつけ医や心療内科、精神科に早めに相談することが重要です。
日時:2015年05月01日 14:50