《健康相談室》COPDという病気について
父は40 年間タバコを吸っていますが、最近咳や息切れが多くなってきました。COPD という病気をテレビで知り、心配しています。この病気について詳しく教えてください
息切れ、咳、痰に注意。早期発見、禁煙、薬物治療を。
COPDとは「慢性閉塞性肺疾患」の英語名の頭文字です。初期の症状は、階段や坂道を上る時の息切れですが、やがて平らな所を歩くだけでも息切れするようになり、更に進行すると着替えや食事といった普段の動作でも息切れするようになります。
COPDは、タバコなどの有害物質を長年に渡り吸入することによる炎症性疾患で、肺胞が破壊され肺気腫病変や慢性気管支炎症状を起こします。これによって気流閉塞が起こり、呼吸困難となります。日本では死因の第9位で、患者数は40歳以上の人の8・5%。約530万人と言われていますが、治療を受けている人は20万人ぐらいしかいません。
治療を受けている人が少ないのは、日本ではCOPDの知名度が低いこと、患者さんは60歳以上の高齢の方が多いため息切れの症状があっても年のせいだと考えてしまうこと、などが考えられます。
診断は、問診や身体所見で疑い、呼吸機能検査で確定します。治療は禁煙、気管支拡張薬、吸入ステロイド薬、マクロライド系抗生物質、呼吸リハビリテーション等ですが、肺胞の破壊が進んで低酸素血症になると在宅酸素療法が必要になります。最大の原因は20年以上に渡るタバコであり、患者さんの90%は喫煙者です。
一旦損傷された肺胞を修復するのは極めて困難で、禁煙が最大の治療となります。また肺炎球菌、インフルエンザに感染すると症状が増悪しますので、これらの予防接種を受けておくのもとても重要なことです。
日時:2015年04月01日 12:24