《健康相談室》インフルエンザと解熱鎮痛剤
子供がインフルエンザに罹った時、安易に解熱剤を使ってはいけないと聞きました。なぜでしょうか? 高熱が出るとやはり心配ですが…。
発熱は戦闘態勢に入っている証拠。解熱剤は慎重に…。
インフルエンザに罹ると高熱が出ます。これは生体の防御反応で、ウイルスと戦おうとして戦闘態勢に入っている証拠です。脳が体温の温度設定を上げ、免疫細胞を活性化して免疫力を高めているのです。
また、体温が高いとウイルスの増殖を抑えることもできます。発熱でウイルスを撃退し、増殖も防いでいる訳ですから、熱を過度に下げることはウイルスに味方することになり、症状がより激しくなったり、治癒が遅れることもあります。
解熱剤を服用すれば一時的に楽になるかもしれませんが、かえってウイルス感染を拡大している恐れがあります。そのため、ボルタレンやポンタール等の解熱鎮痛剤は使用しないほうが良いとされています。
インフルエンザ脳症に罹った小児にボルタレンを使用すると、死亡率が高くなり禁忌です。市販の解熱剤に含まれているアスピリンも、15歳未満の子供に使用するとインフルエンザ脳症を引き起こす危険性があります。
小児科では通常、アセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が用いられます。赤ちゃんから大人まで使い易く、現在までの報告ではインフルエンザ脳症に罹った小児が使用しても死亡率が高くなることはありませんでした。
安易な解熱剤の服用は好ましくないので、インフルエンザ対策の第1選択はワクチンの予防接種、そして発症したら早期に抗インフルエンザ薬を使用し、充分な水分摂取を心掛けることが重要だと思います。
日時:2015年01月01日 10:17