《健康相談室》 糖尿病と骨折の関係について
母は糖尿病で薬を飲んでいます。糖尿病の人は骨折しやすいと聞き、心配しています。これは本当でしょうか?
糖尿病は骨密度低下や骨質低下をもたらします
残念ですが、糖尿病があると健常人の2~4倍骨折しやすいと言われています。その理由を説明しましょう。
糖尿病の人はインスリンの作用が低下しています。インスリンには血糖値をコントロールする働きがあるほか、骨を作る細胞(骨芽細胞)を増やす作用や、カルシウムを腸から取り込んで骨を作る働きのある活性型ビタミンD3を作る作用があります。インスリンが低下すると、そうした作用も低下するため骨の形成が悪くなってしまうわけです。
また糖尿病の人は、血中の過剰な糖分を尿として捨てようとするため、尿量が増えます。するとカルシウムも余分に尿中に捨てられるので、血中のカルシウム濃度が減少。それを補おうとして骨からカルシウムが血中に溶け出し、骨のカルシウム量が減って骨が弱くなるのです。
また、高血糖の人は悪玉コラーゲン架橋というものも増えやすくなります。これは、蛋白質が糖と結びつく糖化反応や酸化によって形成されます。高血糖の状態が続くと糖化反応が進み、悪玉コラーゲン架橋が増えて、骨の成分のコラーゲンが劣化。骨がもろくなって骨折しやすくなるのです。
それに加え、合併症である糖尿病性網膜症による視力の低下や、糖尿病性神経障害による足の知覚障害などが起こると、転倒しやすくなり、前述の理由で骨がもろくなっている可能性があるため、骨折の危険性はさらに高まります。
こうしたことが、健常人の2~4倍骨折しやすいと言われる理由です。
日時:2014年09月26日 11:34