[健康相談室]風邪について
普段からよく「風邪をひいた」「風邪をひかないように」などと言っています。でも「風邪」ってほんとはどんな病気なのですか?
病気の名前に限らず、普段あたり前のように使っている言葉で、本来の意味が不明瞭になってしまっているものがよくありますね。「風邪」という言葉もその一つで、正確にいうと「風邪症候群」の略語なのです。では「風邪症候群」とはどんな病気かという、鼻水やくしゃみ、痰、咳といった喉や気管支などの症状を認める状態の総称なのです。ここで注意していただきたい点は、あくまで総称であって「気管支炎」や「扁桃炎」といった個別の病名ではないということです。つまり「風邪症候群」という言葉だけでは、病原体の種類や症状の詳細については曖昧で、そうした病状に対する表現としてはやや玉虫色といえます。余談ですが──。下痢や腹痛といった症状に対して、よく「お腹についた風邪」といった表現がなされます。でも、それは間違いで、こうした症状を風邪とはいいません。一般的に、「風邪」といえば「安静にして様子をみていれば自然に改善する病気」と認識されていることが多いようですが、あまり軽く考えるべきではありません。「風邪症候群」から急性気管支炎や肺炎に至って入院加療が必要になったり、あるいは不幸にして命を落とされる方も毎年おられます。まさに「風邪は万病の元」。古来からのこの警句は、軽微な症状から、いつでも重篤な状態に変わる可能があることを教えてくれています。
日時:2012年02月01日 11:31