【健康相談室】自由貿易条約について
ニュースで「政府が検討している自由貿易条約により『混合診療』が進む可能性がある」と言っていました。意味がよく分かりませんが、今までの診察と何か違ってくるのでしょうか?
現在の日本では、国民全員が加入し、実際にかかった医療費の一部を健康保険で賄う「皆保険制度」が施行されています。これは、同じ病気に対する治療内容は、誰が受けても平等になるように配慮された制度で、かかった費用も一定になるように日本全国均一の診療報酬設定となっています。反面、そうした仕組みを維持するために、健康保険を用いた治療では、患者さんの経済力の違いによって治療内容に差が生じないよう、保険で決済できないような治療を、同じ一つの病気に対する治療に組み合わせてはならないと決められています。つまり「混合診療」が禁止されているわけです。ここで勘違いしてはいけないのは、一つの病気に対してすべて健康保険を使わずに治療すること(自費診療または自由診療と言います)は禁止されていないということです。ですから、健康保険を使用することが認められていない美容外科や、インフルエンザをはじめ各種予防接種などは禁止されていないのです。では、ご質問にある自由貿易条約が締結されると、混合診療が解禁される可能性はあるのでしょうか?これは健康保険とは別に、多くの皆さんが任意で掛けている保険会社による医療保険と深く関係してくると思われます。これについては次回、他国で行われている医療の実態を交えながらご説明しましょう。
日時:2011年12月02日 16:10