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なぜ乳幼児だけ?

先日「浄水場の水から基準値を超える放射性ヨウ素が検出されました」とのニュースが報道されました。

その中で「大人は大丈夫ですが、乳幼児には念のために飲ませないようにしてください」との一文が添えられています。

なぜ成人と乳幼児では基準が違うのでしょうか。

乳幼児は身体を成長させてゆく過程で成人よりも多くの栄養を必要とし、また細胞もとても活発な活動をしています。
成長著しい時期の細胞は、通常の細胞よりも放射線を受けた時のダメージが大きいことが実験的にわかっています。そのため、成長著しい時期の乳幼児への摂取を極力減らしましょう、という通達が出るわけです。

また、甲状腺は代謝を助けるホルモンのほか、成長を司るホルモンも分泌します。
報道にある水道水中の放射性ヨウ素が甲状腺に貯留し、甲状腺の細胞がダメージを受けて機能が低下した場合、成長ホルモンの分泌が阻害され、発育が悪くなる可能性があります。
さらに乳幼児は成人に比較して甲状腺内のヨウ素の蓄積量が少ない場合が多く、水から新たにヨウ素を取り込んだ場合、ほとんどを吸収してしまって、長期に渡って被ばくする確率が高いのです。

乳幼児、という言い方での第一報でしたが、可能であれば妊婦さんも飲まない方が賢明だと考えられます。特に胚分裂が活発な時期(3週~5ヶ月)は、検査等での被ばくもしない方が良いでしょう。

2011年03月22日

放射性物質、身体の中に入ってしまったら?

人間には代謝と呼ばれる、不要なものを排出する機能があります。それにより不必要と分かったもの、貯蔵仕切れなかったものは排便・排尿・発汗等によって排出されます。従って、吸入・吸引してしまった場合はそういった機能に任せる必要があります。

しかし残念ながら、放射性物質は、放射線を出す以外の能力は放射線を出さない同じ名前の原子とほとんど同じであるため、薬剤等で選択的に排出する方法はありません。
ヨウ素に限って言えば約2.5ヶ月が体内のヨウ素の半分を排出するのに必要な期間になります。これは正常なヨウ素も、放射性のヨウ素も同じで、人間の体内でも特に判別して排出することはありません。
しかし甲状腺は、許容量以上のヨウ素は取り込まず、また必要量のヨウ素が体内に残る期間が非常に長期間であるため、予め正常なヨウ素を甲状腺に満たしておくことで、甲状腺への被ばくを抑える(甲状腺ブロックといいます)ことが可能です。

放射性物質による水質汚染、大丈夫?

「浄水場の水1リットルあたり200ベクレルの放射性ヨウ素が検出されました」という報道が出されています。
ベクレルという単位は「1秒間にその物質が出した放射線の個数」、つまり直接的には放射能を意味する単位のことで、1リットルあたり200ベクレルということは、1秒間にその水から放射線が200個出ているということになります。

そういう風に聞くと「たくさん浴びてしまう!大変だ!」と考えてしまうかもしれませんが、結論から言うと、

例えば1年間毎日必要量飲んだとしても、自然放射線量との合計は最大でも年間2400マイクロシーベルトとなり、世界平均程度に落ち着くため大丈夫だと言えます。

人間は1日に代謝分を差し引いて毎日2~2.5リットルの水が必要になるので、経口摂取量としてはおよそ400~500ベクレル吸入することになります。これを放射性ヨウ素131の持つエネルギーからシーベルトの値に変換すると、約3.0~3.7マイクロシーベルトになります。

ある1日この水を2リットル飲んだとして、その後は正常な水しか飲まなかった場合は、その被ばく量はレントゲン1回の検査被ばく量(50マイクロシーベルト)よりも少ない計算になります。従って1日飲んだ程度で健康被害がある可能性はありません。
また、1年間飲んだ場合についても、その合計は1100~1300マイクロシーベルトなので、日本の通常時の自然放射線量(約1000マイクロシーベルト)と合計しても、自然放射線の量が若干多い地域で過ごす程度(中国の陽江では年間3000マイクロシーベルト前後、世界平均では2400マイクロシーベルトが自然放射線量で、日本は元々かなり少ない)であると言えます。

浄水場からのその後の報告では「減少傾向にある」とのことなので、今後も注意して情報を集めることは必要と言えますが、飲料水として考える分に関しては、現状では心配ないと言えるでしょう。

放射線被ばくの予防

放射線被ばくの予防には、防護の3原則というものがあり、「遮蔽(しゃへい)・距離・時間」という3つを守ることが重要になります。

その言葉の意味についてご説明させていただきます。

報道各社が説明されているように、放射性物質を体内に取り込んだり、衣服に付着したりしたままにしておくと、それだけ多く被ばくしてしまう(かもしれない)ので、外出の際は(出来る限り使い捨ての)マスクをしたり、外出から帰ったら衣服の汚れを払い落とし、手洗いうがいをして行くこと、つまり放射性物質からの「遮蔽」が最も効果的です。
風邪や花粉症の予防に似ていますが、毎日の予防の積み重ねが自分の身を守ることに繋がるので、実践することをお勧めします。


「距離」についてですが、「放射線は透過するとエネルギーをやがて失う」、というご説明を前回させていただいわけですが、その原理で考えるのならば、放射線被ばくは原発から離れれば離れるほど減る、というのが「距離」による防護の原則です。

「事故現場20km圏内の方は避難してください」となっているのに対し、「事故現場30km圏内の方は屋内退避でお願いします。」という説明をされているのは離れれば離れるほど、距離の2乗に反比例して放射線のエネルギーが減り、結果被ばく量が減ることがわかっているためなのです。
例に出して言えば、実験用の放射線源から1m離れた地点で10マイクロシーベルト毎時を測定した場合、10m離れた地点では、エネルギーが100分の一になるので、0.1マイクロシーベルト毎時になります。


最後に「時間」に関する防護策です。万が一放射性物質に触ったり、体内に入ったりした場合でも、残留する時間が短ければ短いほど、それだけ被ばく量は減ります。
例えば100マイクロシーベルト毎時の放射線量観測地点で、放射線を10分浴びると約17マイクロシーベルトの被ばくとなり、30分浴びると約50マイクロシーベルトとなるので、10分浴びるだけの方が被ばく量は少ないです。
万が一1,000マイクロシーベルト毎時の観測地点に立ったとしても、その場にいた時間が1分ほどしかないのであれば、100マイクロシーベルト毎時の場所に10分居たのと同じ程度しか放射線を浴びたことにはなりません。
従って、身体に付いた放射性物質は、速やかに水で流したり払い落としたりすることが重要になるわけです。

安定ヨウ素剤は摂ったほうがいい?

放射性ヨウ素の飛散等をよく耳にされると思いますが、薬剤を使ってまでヨウ素の摂取量を増やしたほうがいいかと言われますと、これはあまり良い方法とは言えないと思います。

日本人は諸外国に比較すると、海産物を良く食べることが知られています。特に海藻類(ワカメ・昆布等)は摂取可能な栄養価としてのヨウ素の値も高いため、普段の食生活である程度毎日摂るようにしているのならば十分で、体内のヨウ素が蓄積しやすい甲状腺では必要以上のヨウ素は受け付けずに排泄してしまうことが知られています。
普段の食生活の中でそういった食物を全く摂っていないのであれば考え物ですが、乾物であれば日持ちも良く、ヨウ素以外にもカルシウムやマグネシウム等の豊富なミネラル分を含んでいて骨を丈夫にする手助けもしてくれますので、これを期に食卓のメニューに一品ワカメサラダ等を加えてみると良いと思います。

ただし、あくまで体内に巡っている時間を短くするための処置の一環なので、一番良いのは、体内に取り込まないための予防策を取るのが最も効果的と言えるでしょう。

2011年03月19日

放射線被ばくの量について

報道でよく聞くマイクロシーベルト毎時(μSv/h)という単位はエネルギーの総量と思ってください。当然、量が多くなれば悪い影響が出る可能性は高くなるのですが、日常生活の中でも、例えば太陽光でも微量な被ばくはあり、自然界で浴びる量とほとんど変わらない量なら、人体に影響が出る可能性は全くと言っていいほどありません。

では我々は平常時どの程度放射線と関わって生活しているのでしょうか。

日本では、地域差もありますが、日常生活でも1年間当たり1000マイクロシーベルト前後(1時間当たりに直すと0.1マイクロシーベルト毎時)、レントゲンでの被ばくは胸部撮影1回で、約50マイクロシーベルト前後となっています。
日本人が自然に生活して一生に被ばくする量(人生80年と計算しても80,000マイクロシーベルト)に比較すると、レントゲン検査の被ばく量は微々たる物なので、レントゲン検査を受けて今すぐ体調不良になる可能性は、まず無いと言えます。


レントゲンで用いられる放射線は、簡単に言うと高電圧の電子から成り立っていて、機械のスイッチを押さない限りは自然に放出することはありませんし、法律に基づいた施設基準をクリアしていれば、室外に漏れ出るような強力な透過力はありませんので、検査に来ている方以外が被ばくすることはまずありません。

現在関東の自然放射線量が一時的に上昇している、などの報道もされていますが、世界の自然放射線量が高い地域から比較するとまだまだ低い方で(年間3,000マイクロシーベルトを超える地域もあります。世界全体の平均では年間2,400マイクロシーベルトといわれています)、現状の報道を聞く限り体内に放射性物質を取り込まないように気をつけて生活をしていれば、総被ばく量はほとんど人体に影響の無いレベルだと言えるでしょう。

放射線被ばくと放射能

皆さんまだまだ東北関東大震災の恐怖が拭えない中になりますが、今回は原発事故に合わせた内容をご紹介いたします。

まず放射線という言葉と、放射能という言葉の違いについて簡単に説明いたします。

放射線は「物質を透過する(通り抜ける)一定のエネルギーを持った、眼には見えない電子や光子等の微粒子」です。
放射能は、「放射線を常に放出し続ける核種(原子)の能力の度合い」です。
現在各種メディアで報道されている放射能は、意味合い的には本筋とは少し違い、放射性物質を含んだ物質のことを指しています。


放射線は物質(鉛でも紙でも空気でも)を透過する際にエネルギーを失うので、放射線源(放射線が出ている元の場所)からある程度離れることで、放射線を身体に浴びる(被ばくする)ことを防ぐことができます。

一方で騒がれる放射能(放射性物質)ですが、放射線を常に放出し続けるといった特性上、身体に密着(特に体内に侵入)すると、その間だけずっと放射線を浴び続けることになります。
つまり放射性物質(種類と量によりますが)を近くに置くことは、レントゲンで1回被ばくするよりも大きな被ばく量になることがあります。

訪問リハビリ部門からのお知らせ

訪問リハビリの営業についてのお知らせです。

先日の地震以降、余震が続いていますが皆様いかがでしょうか?
現在、計画停電やガソリン不足等がありますが、当院訪問リハビリ部門は通常通り営業しております。来週以降も休止の予定なく通常営業することにしております。
強い余震等のやむを得ない事情により休止する場合はご連絡いたします。
今後とも宜しくお願い致します。

2011年03月18日

物理療法休止のお知らせ

リハビリテーション科より物理療法一時休止のお知らせです。

このたびの東北地方太平洋沖地震に伴い、計画停電が実施されます。
そのため、物理療法(機械のみの治療)に関しては当分の間休止とさせていただきます。再開は未定となっております。皆様にはご迷惑おかけいたしまして、大変申し訳ございません。何卒ご理解のほど宜しくお願い致します。

なお運動療法(理学療法士とマンツーマンで行う治療)は行っておりますのでご了承ください。

2011年03月14日

慢性的な痛み

同じ場所の痛みがずっと続いている・・・そんな方はいらっしゃいますか?

肩や頚が長年こっている感じが続いている、腰の辺りや背中全般に重苦しい痛みが続いている、そんな症状で悩まされている方はいらっしゃいませんか?

痛みをそのままほうっておくと、筋力や持久力の低下、関節が動かしにくくなったり、痛む箇所をかばって、他の場所が痛くなったりすることがあります。

そうなる前に、きちんとご自身のお体の状態を知っておくのも大切です。どういう動作をしたときに痛みが強くなるのか、痛みの増悪を防ぐにはどうしたらいいのか・・・・お1人で悩んでらっしゃる方を度々見かけます。自己流の対処が正しいとは限りません。痛みがあるときは我慢せずに、一度医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

2011年03月10日

禁煙その後・・・

禁煙治療が終わって数ヶ月・・・薬の服用をやめれば元に戻るのではないか?という不安も消え、それよりも臭いへの拒絶の方が多くなりました。

家族への受動喫煙を避ける為などでよくあるのがベランダでの喫煙ですがうちの隣もそのようで、洗濯物を干したり取り込んだりする際に慌てて鼻を塞ぐ程に気持ちが悪く吐き気がする事も。以前は自分が臭いを出していたと言うのに今はベランダの洗濯物に臭いがつきそうだな・・・火災の安全の為にも風のない屋内で吸ってもらえたらな・・・と思ってしまいます。今は辞めたからこの様に考えてしまう自分に自分勝手だな・・・と感じたり問いかけたりの毎日を送っています。でも今年の桜は美味しいお弁当を持って綺麗な桜の下で眺められる事を楽しみにしていますよ♪そういえば、今年の開花予報が出ましたね?3月末~10日程楽しめるとの事でした。

開花

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秋に植えた球根が先週開花しました。一番にクロッカス、二番目にアネモネが花を見せてくれました。約80球の球根がどんな色を見せてくれるのか、これから毎朝が楽しみです。そんな春を楽しみながら夏に咲く花をどんなものにしようか・・・昨年のランタナ、アメリカンブルーが元気に芽をふくか・・・もドキドキしています♪

2011年03月07日

【健康相談室】定期的なお薬と転勤ついて

高血圧と狭心症で近くの医院から定期的に薬をもらっています。この春、名古屋へ転勤になりましたが、単身赴任で週に1度は松戸へ帰ってきます。今後も地元での受診を続けてよいでしょうか?

年度末が近づき、転勤辞令を受ける方も多いと思います。基本的に、健康保険を使用した診療、投薬は全国どこで受けても変わりません。ですから地元でも赴任先でもよいのですが、問題は緊急時の対応です。質問者の方の場合、持病の狭心症の症状が急に悪化することも考えられます。万が一、救急
車などで現地の病院を受診することになったとき、ご自身の病状が初診の医師に正確に伝わるかどうかは、その後の治療内容や入院期間に大きく影響します。つまり、情報がなければ一から検査を始めることになりますが、分かっている事実が多ければ予備検査を省略でき、それだけ早く治療に取り掛かれるわけです。こうしたケースでのお勧めは、現在の担当医に病名や病状の簡単な要約を記してもらうことです。これは自分自身の病状を把握するうえでも大変参考になりますし、緊急時には提示するだけで前述の問題が解決されます。医療機関によっては作成費用を請求される場合もありますが、緊急時のことを考えれば高額ではありません。旅行などの際も、こうした書類を用意しておけば安心です。なお、診察当日すぐに発行するのは難しいので、「次回の診察日までに」と、ゆとりをもって依頼してください。

2011年03月01日

新松戸駅から徒歩12分


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