けやきトータルクリニックの≪健康相談室≫ノーベル医学賞についてについての記事です

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    ≪健康相談室≫ノーベル医学賞について

    2025/10/22

    30年前に発見した研究で受賞した坂口志文さんのノーベル医学賞。遅すぎませんか?

    人類への貢献が確実に証明されるまで慎重に審査

     発見から受賞まで数十年かかるのはよくあることです。その主な要因としては、次の4つが挙げられます。
    ➀発見の価値が確認されるまでに時間が必要。委員会は、人類への貢献が確実に証明された業績にしか賞を与えません。発見が再現できるのか?仕組みが正しく理解されたのか?実際に病気の治療や応用に結びついたのか?といった長期的な検証を待つ必要があります。
     坂口さんの制御性T細胞(Treg)の発見は、当初、本当に免疫を抑える細胞なのか?という議論が多く、その後20年かけて自己免疫疾患や癌治療などへの応用研究が進み、ようやく世界的に確立されました。
    ➁応用や影響が人類に役立つ形になるまでに時間がかかる。Treg研究は、免疫抑制療法や癌の分野で欠かせませんが、それが薬や治療の形になって初めて人類への貢献として評価されました。多くの発見は、応用に結びつくまでに10~30年の年月を要します。
    ➂ノーベル賞の選考は、非常に慎重に行われる。賞の選考は、世界中の専門家から数千もの推薦を集め、数年単位で審査を重ね、候補者リストは50年間非公開という慎重な体制です。そのため、発見が注目されてからすぐに受賞するといったことは、まずありません。
    ➃同時代の他の候補との兼ね合い。その分野の研究が熟してきた時期に、他の関連発見とのバランスを見た上で受賞が決まります。坂口さんのTregの発見は、免疫抑制・免疫寛容という大きな研究の流れの中で、今まさに臨床応用と理論の両方で影響が確定したと判断され、今回の受賞となりました。

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