脱水症状を防ぐための正しい水分補給 〜高齢者ケアにおける経口補水液の活用とその注意点〜-けやきトータルクリニック
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脱水症状を防ぐための正しい水分補給 〜高齢者ケアにおける経口補水液の活用とその注意点〜
2025/7/1
はじめに
高齢者の脱水症状は、気づいたときには進行していることが多く、命に関わるリスクもあります。
特に夏場はもちろんのこと、室内でも暖房が効いた冬や、感染症の発熱時にも脱水は起こります。この記事では、**介護職の方々に向けて、「正しい水分補給の考え方」および「経口補水液(ORS)の使い方」**を、専門的な視点からわかりやすく解説します。
なぜ高齢者は脱水になりやすいのか?
高齢者は、以下のような理由から脱水リスクが高まります:喉の渇きを感じにくい(加齢による感覚の低下)
腎機能の低下により水分の保持が難しくなる
利尿薬などの服薬による水分喪失
嚥下障害があると飲水を避けがち
トイレを気にして水分を控える傾向
そのため、「本人が水を飲みたがらないから大丈夫」と思わず、計画的・積極的な水分補給の声かけと支援が重要になります。
経口補水液(ORS)とは?
経口補水液(Oral Rehydration Solution)は、水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)を適切なバランスで含んだ飲料であり、
軽〜中等度の脱水に対して、最も推奨される水分補給手段です(WHO・厚労省ガイドライン準拠)。一般的な水分(例:お茶・水)との違い
飲料 電解質 糖分 吸収効率
水・お茶 ほぼなし なし 低い
スポーツドリンク 低め 多め 中程度
経口補水液 適正な比率 低め(ブドウ糖) 高い(腸管で素早く吸収)
どんなときに経口補水液を使うべきか?
✅ 適応シーン
発熱・嘔吐・下痢などの急性脱水暑い環境での長時間活動後
食事量・飲水量が減っているとき
軽度の熱中症の初期対応時
❗ 使用時の注意点
糖尿病や腎疾患のある方には要医師確認点滴が必要な重度の脱水には適しません
飲みにくい場合は少量ずつ、こまめに摂取(スプーン1杯ずつなど)
自家製の場合は塩分・糖分の比率に注意(WHO推奨:食塩3g+砂糖40gを1リットルの湯冷ましに)
現場での導入のポイント
介護の現場で経口補水液を取り入れる際は、次の点を意識しましょう👇あらかじめ“準常備品”として準備(季節を問わず)
「元気なうちに飲む」ことを定着させる
本人・家族への説明と理解を得る
味の選択肢を増やす(フレーバーありタイプも◎)
水分摂取記録をつけるなど、見える化を図る
まとめ:脱水対策は「早め・こまめ・正しく」
高齢者の脱水は、**“気づいたときには遅い”**ケースが多くあります。
経口補水液は「飲ませるタイミング」「量」「選び方」を理解することで、現場で非常に頼れるツールになります。ぜひ日々のケアに「正しい水分補給」の視点を加え、脱水によるリスクを未然に防ぎましょう。
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