《健康相談室》慢性便秘について
70 歳を超えたあたりから一年を通して便秘気味に。なにかよい方法はありませんか?
慢性便秘症の新薬が発売されています
一般的に3〜4日便が出ないことを便秘と言いますが、毎日排便があっても固くて苦労する、排便後もすっきりしない等の不快な症状があれば、それも便秘といえます。
今まで処方されてきた薬剤は、ほとんどの場合、①便の水分を増やす酸化マグネシウム、②腸を刺激して活性化する植物成分のセンナ、この2成分が中心でした。
①の酸化マグネシウムは安価ですが、腎機能が低下している高齢者は、高マグネシウム血症に注意が必要です。悪心・嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠等の症状が出たら採血を行い、マグネシウム値が高い場合は内服を中止しなければいけません。
一方、②のセンナは、長期連用によって耐性が生じ、難治性便秘に進むことがあります。またセンナに含まれるアントラキノンは、大腸運動異常(腸機能減弱)や偽メラノーシス(大腸粘膜が黒くなる)を引き起こすこともあるので、一時的な使用に留めるべきだとされています。
6年前にアミティーザ、2年前にリンゼス、1年前にグーフィス、昨年末にモビコールという薬が次々と発売されました。作用のしくみは全て異なりますが、いずれも腸管内の水分量を増やし、便を柔らかくして排便を促します。
欧米で第一選択薬となっているのはモビコールで、ポリエチレングリコールというポリマーを水に溶かして1日1〜3回飲みます。浸透圧差で便に水を含ませるしくみで、体内には吸収されないため電解質異常等を引き起こさず、安全性は高くなっています。
日時:2019年06月26日 08:55