除染と放射線源
放射線は、線源から離れるほどに、一定の割合で低減するという記事を、以前紹介しました。
この内容は科学的には決して間違った事象ではありません。しかし、実際の福島の現場では、地表の除染を行っても、ほとんど数値が変わらなかった例がいくつかあります。
地面の土を除去しただけでは、周りの木や建物に付着した線源不明の放射性物質からの影響を受けるためです。
こんな実験があります。
放射線源に見立てた懐中電灯を四方に設置し、光線の集まる一点における照度を、それぞれの懐中電灯をON・OFF切り替えた時の差異を測定するというものです。
結果、2~4箇所をONにした時の照度は、(装置の測定限界によるものもあるが)一様に高い値となった、というものです。
つまり、複数の線源から影響を受ける地点では、ただ一箇所除染した程度では低減化は困難ということです。
懐中電灯は目に見える光源なので元を絶つのは容易いですが、目に見えない放射線源を特定し、元の状態に戻すということは、並大抵の労力では不可能とまで言えるでしょう。
※ 出典:放射線安全管理総合情報誌 No.442
日時:2013年11月29日 15:03