《健康相談室》骨粗鬆症について その2
64歳の女性です。先日の検診で骨密度が若い時の65%に落ちていて、骨粗鬆症と言われました。これ以上悪くならないようにするにはどうすればよいでしょうか?
骨粗鬆症はサイレント・ディジーズ(静かな病気)と言われ、深く静かに進行します。そのため、自覚症状が表れた時はすでに重症化している場合もあります。とくに女性は閉経後、定期的に骨密度を計測し、早期発見が重要な鍵となります。では骨粗鬆症と診断された場合はどうすればよいか?治療には内服薬と注射薬があり、最近は良い薬がたくさん開発されています。腸管からのカルシウム吸収増加剤としてビタミンD3とカルシウム。骨形成促進剤(骨を作る)としてPTH(テリパラチド)とビタミンK。骨吸収抑制剤(骨の分解を防ぐ)としてビスホスホネート、サーム、抗RANKLE抗体、カルシトニン、イプリフラボンなどです。この中で骨折を防ぐエビデンス(証拠)のある薬も分かってきており、推奨される順位も明確になりつつあります。また、すでに薬をたくさん内服していてそれ以上増やしたくない方や、胃や食道が悪くて薬の内服が困難な方は、注射で治す方法もあります。こちらも非常に効果の高いものが使用できるようになりました。骨の代謝はゆっくりなので、骨密度が短期間に劇的に改善することはありませんが、エビデンスのある薬で根気よく治療すれば、骨を強くすることは可能です。一方、放置すれば骨量は確実に減っていきます。骨折で寝たきりにならないよう、早期発見・早期治療を心掛けましょう。
日時:2013年07月31日 17:13