[健康相談室]入院期間の長期化に伴う転院のすすめについて
叔父が1年前に脳梗塞で倒れ、今も状態が思わしくありません。すでに3回転院し、先日また転院を勧められたと伯母が嘆いていました。1カ所の病院で長く診てもらうほうがよいと思うのですが、なにか決まりでもあるのでしょうか?
現在、国の借金は増加の一途をたどり、先進国の中でもとくに日本の財政事情は最悪と言われています。そんな中、進行する高齢化社会によって医療にかかる費用はさらに増加すると考えられています。この増加する医療費の原因の1つとされたのが、入院の長期化です。一時期、社会的に身寄りのないお年寄りのいわば「避難所」として機能していた療養型病棟は、とくにやり玉に挙げられ、縮小の方針となりました。具体的には、長期に入院すればするほど(実際には3カ月以上)医療機関の利益が減少するように診
療報酬が定められています。しかし、この制度には抜け道もあります。3カ月ごとに転院することで、利益減少を回避することが可能なのです。そこで病院側としては、収益の減少を避けるため(赤字になるのを避けるため)、3カ月ごとに転院を勧めるわけです。
もちろん、長期入院が必要な状態は、本来病院が務めるべき「急性期の治療」を行うことに支障をもたらすかもしれません。しかし、急性期以後の状態、診るべき環境(在宅診
療体制の拡充など)が十分でない中での転院は、“たらいまわし”の状態と言えましょう。財政がひっ迫する中、いろいろ制限はあると思いますが、早急な制度の改善が望まれます。
日時:2012年12月01日 15:53