【健康相談室】熱中症対策について
今年は熱中症になる人が多く、水分を摂るようにと盛んに言われます。特にスポーツ飲料がよいとのことですが、水やお茶ではダメですか?
今年は節電の影響もあってか熱中症になる方が多く、死亡者も相当数出ています。前号で熱中症の予防対策として水分を十分摂るようにと申し上げましたが、具体的にどんな水分を摂取するとよいかは、状況によって多少異なります。通常、人間の体内で水分を吸収するのは、胃腸の中でも主に大腸と呼ばれる肛門に近い最後の部分です。ですから、口から水分を摂取して大腸に達するまでに長時間(6〜10時間)かかるため、すでに熱中症になりかけていて急速な水分補給が必要な場合はとても間に合いません。ただし例外があって、体液に近い成分の水分なら、摂取後、短時間で胃や小腸から吸収され
ます。スポーツ飲料は塩分濃度が体液に近い状態に調整されているので、脱水状態など急速な水分補給が必要な場合は、まさに最適な飲み物といえるのです。また、下痢など大腸での水分吸収が困難な状況でも、スポーツ飲料なら速やかに水分吸収ができます。ただし、ほとんどのスポーツ飲料には糖分が多く含まれていて、飲みすぎると糖尿病などの原因となるため注意が必要です。通常時は、大腸でゆっくり吸収させても問題はなく、お茶でも水でも大丈夫。こまめな摂取を心がけましょう。
日時:2011年08月01日 15:34