【健康相談室】放射性物質について
原子力発電所の事故で放射性物質が問題になって以来、過激な報道に不安を感じています。子どももいるので、危険性について正確に理解したいのですが…。
放射能汚染について、日本でこれほど関心を持たれたことはないのではないでしょうか。事故発生直後の「ただちに健康に影響はない」という説明は、逆に「長期的には影響がある」と受けとられ、不安が助長されたように思います。放射線の影響は大きく分けて2種類あります。1つは放射線熱傷など、被曝総量によって生じる確定的影響。もう1つは、少量の被曝でも、ある確率で発癌や遺伝障害などが発生しうる確率的影響です。当初の説明では、この2つが混同され混乱を生じました。事故発生直後は、原子力発電所内で活動している方々への確定的影響が問題になっていました。しかしその後、放射性物質の空気中や海水への放出にともない確率的影響が問題になってきました。特に食品などを介して放射線物質を体内に取り入れて生じる内部被爆は、確率的影響をもたらす主な原因となります。この内部被爆は、放射性物質の半減期と体内へのたまりやすさによって影響が異なります。そこで、どんな種類の放射性物質がどの程度食品に含まれているかを把握することが非常に重要になります。いたずらに不安を煽るのはいけませんが、問題を直視し、公表されるデータなどをもとに本当に避けるべきものは何かを理解するよう心がけましょう。
日時:2011年05月01日 06:16