《健康相談室》睡眠薬の長期服用について
毎晩、睡眠薬を服用しています。先日、睡眠薬を長期間飲み続けるのはよくないと聞いたのですが…?
睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)の長期投与に厚労省が警鐘
昨年の診療報酬改定で、不眠症状に対して睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)を、1年以上連続して同じ用法、用量で処方した場合、処方料、処方箋料を下げることになりました。
この薬は、神経細胞の活動を抑制するGAVAという脳内物質の作用を増強させるため、GAVA作動薬とも言われます。ロゼレムとベルソムラ以外の睡眠薬は全てGAVA受容体に作用するので、薬理的にはベンゾジアゼピン系とみなされます。
厚労省は、処方料や処方箋料を下げることによって、睡眠薬の投与を制限しようとしています(十分な経験があり、適切な研修を受けた医師が処方する場合や、精神科医から直近1年以内に抗不安薬・睡眠薬について助言を受けている処方は除外)。
理由としては ・高齢者の場合、この薬の筋弛緩作用でふらついて転倒、骨折する可能性がある ・せん妄といって意識水準が低下して自分の置かれている状況が分からなくなり、幻覚、錯覚、妄想などで興奮状態になることがある ・毎晩服用すると薬物依存が生じ、止められなくなることがある などが挙げられます。そのため、漫然とした長期投与は避け、継続する場合は治療上の必要性を検討することとされています。
欧米では、1970年代からこの薬の中毒性が問題になり規制が掛かっていました。しかし日本でそうした動きはなく、その結果、日本はベンゾジアゼピン系の薬の消費量で世界トップクラスになってしまいました。厚労省がようやく重い腰を上げ、長期にわたる漫然投与に警鐘を鳴らし始めたのです。
日時:2019年04月13日 10:50