《健康相談室》新しいインフルエンザ薬について
インフルエンザの新しい薬が出たと聞きました。どんな薬なのですか?
抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」が発売されました
今年3月、新インフルエンザ薬「ゾフルーザ」が販売されました。この薬は、3年前に審査を短くして早期実用化を目指す「先駆け審査指定制度」に指定されていたため、申請からわずか4カ月でのスピード承認となりました。
ゾフルーザは、タミフルと較ベて抗ウイルス効果が有意に高いことが確認されています。また、1回の内服で完結するため飲み忘れがなく、吸入薬のような不確実性もありません。従来の薬と作用が異なるため、タミフル等が効きにくくなったウイルスにも効果が期待されています。
適応はAまたはB型インフルエンザで、臨床試験では罹病期間の短縮効果はゾフルーザ(単回投与)とタミフル(5日間投与)で同じ程度。副作用の発現率は、ゾフルーザで有意に低くなっています。
またタミフルと比較して、治療開始1〜4日後のインフルエンザ陽性患者の割合を有意に減少させ、ウイルス排出期間の短縮効果でもゾフルーザが優越性を示しました。
ゾフルーザは、ウイルス合成開始に関わる酵素を選択的に阻害し、増殖過程のかなり早い段階で作用してウイルスの増殖を抑制するので、既存薬とは作用のメカニズムが全く異なります。
タミフル等はウイルスを細胞内に閉じ込めて拡散を防ぐという仕組みなので、ウイルスが広く拡散する前の48時間以内の投与が必須です。一方、ゾフルーザも発症後48時間以内に速やかに内服すべきですが、作用のメカニズムから考えると、投与が多少遅れても有効な可能性があります。
日時:2018年10月16日 09:47