《健康相談室》細菌とウイルスの違いについて
食中毒が心配な季節になりました。食中毒には細菌性のものとウイルス性のものがありますが、なにが違うのでしょうか?
細菌とウイルスは全く異なる生物です
気温も湿度も上昇するこれからの季節は、食中毒が気になりますね。とくに要注意なのが、サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌など、細菌による食中毒です。一方、冬になるとノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎が流行します。
細菌とウイルスは感染症を引き起こす微生物の代表格で、しばしば混同されますが、じつは全く異なる生物です。
もっとも大きな違いは、細菌は栄養と水があれば、他の生物に寄生することなく自分で活動して増殖することができ、ウイルスは自分で増殖する能力がなく、栄養と水があっても単独で生存することはできないという点です。そのためウイルスは、他の生物の細胞の中に入り込み、その細胞のDNAやRNAの増殖機構を借りて自分の遺伝子を増殖させます。つまり、他の生物の細胞に侵入して寄生しないと、生きていくことも増殖することもできないのです。
当然、構造も大きさも異なり、細菌は細胞を持っていますが、ウイルスは非常にシンプルで遺伝子が1〜2本入っただけのカプセル状で、大きさは細菌の百分の一ぐらいです。
また抗生物質は、細菌を殺すことはできますが、ウイルスには全く効きません。抗ウイルス薬は種類が少なく、対応できるウイルスも限定されます。現時点ではノロウイルスに効く薬はなく、自分の免疫力で治すしかありません。十分な休息と栄養をとって、免疫力や体力を向上することがとても大事です。
日時:2017年05月17日 10:30