《健康相談室》変形性膝関節症について②
変形性膝関節症と診断された68歳の母のことでご相談します。昔から太っていて、膝の負担も大きいように思います。現在は痛み止めを飲んでいますが、他にどんな治療法がありますか?
まず運動で筋肉を鍛え、薬やヒヤルロン酸の注射を・・・。
お母様の場合、加齢によって大腿や膝周囲の筋肉が衰え、その分、膝関節への負担が増えて、関節が悲鳴をあげている状態だと思われます。そこに肥満が加わり、膝の負担はさらに大きくなっているのでしょう。
治療法としてはまず、これらの筋肉を鍛える運動器リハビリテーションを行って、膝関節を安定させ、膝の負担を軽くする必要があります。筋肉をつけて膝を安定させることにより、膝の変形の進行を抑える効果も期待できます。また、関節の動きを柔軟にする運動は、膝が曲がらない状態や、伸びない状態を予防するためにも大変重要です。
次に薬についてですが、変形性膝関節症というのは関節炎ですから、炎症を抑えて痛みをとる消炎鎮痛剤を飲んだり、坐薬として用いたり、あるいは消炎鎮痛剤の入った湿布や軟膏を使う方法が効果的です。
通常の消炎鎮痛剤で痛みが取れない場合は、弱オピオイドというより効果の高い薬の内服や貼付剤も使用できるようになりました。
また体内にあるヒアルロン酸は、非常に高い粘性と弾性があり、関節の動きを良くする潤滑油のような働きや、衝撃を吸収するクッションのような働きをしています。しかし、加齢によって減少していくため、関節軟骨がすり減りやすくなり、関節液も薄まって滑らかさや弾力性が失われていきます。
そこで、膝関節の中に注射でヒアルロン酸を直接補うことで、関節軟膏の表面を保護して炎症を抑え、膝関節の動きを滑らかにして痛みを軽減することができます。
他には、肥満を解消して、ベッドや椅子などの洋風生活に変えていくことも、膝の負担を軽くするよい方法です。