【健康相談室】インフルエンザワクチンについて
新型インフルエンザが流行した昨年、テレビで肺炎ワクチンが紹介されていました。インフルエンザワクチンと何が違うのですか?
先月号で、インフルエンザクチンは感染を予防、または感染しても軽症で済むよう免疫を増強する手段だとお話ししました。しかし、実際にインフルエンザウイルスに感染したとき、重症になる原因として肺炎の合併が大きいことが知られています。特に高齢者や持病のある方は、インフルエンザの感染自体より続発する肺炎で命を失うケースが多いのが現実です。そこでインフルエンザワクチンのように、あらかじめ肺炎を起こす細菌に対する免疫を増強し、重症化を防ごうというのが肺炎ワクチンです。現在流通している肺炎ワクチンは、約20種類のワクチンを混合したもので幅広い効果を発揮し、いま話題の薬剤耐性菌にも有効です。またインフルエンザウイルスは形を変えやすいため毎年接種する必要がありますが、肺炎を引き起こす細菌は変化が少なく、1度の接種で約5年間、免疫を維持できます。日本ではまだ自費負担(8千円前後)ですが、欧米では肺炎になって入院する際の医療負担が大きいこともあり、全体の60%程度の国民が接種しているといわれます。日本でも今後、予防医療が見直される可能性は高いと思いますが、まずご自身で肺炎の予防についてお考えになってもよいのではないでしょうか。
日時:2010年11月01日 08:13